苦手な「におい」どうしたらいいの?当事者が語る「香害」

香害という言葉を聞いて、ピンとくる方も増えているのではないでしょうか。
多くの方にとっては、「匂いが強すぎる」という認識が一般的かもしれません。

私自身も数年前までは、同じ認識でした。
子どもが生まれたのをきっかけに、それまで気にしなかった化学物質や添加物について意識するようになりました。
そして最近、自分の体が柔軟剤や化学的なにおいを受けつけなくなっていることに気づきます。

さらに、私の知人には化学物質過敏症と診断され、日常生活にも大きな支障が出るほどの厳しい制限を受けている方がいます。
今回は、生活クラブエスコープ大阪主催の「香害学習会」に参加し、学んだことを共有するとともに、化学物質過敏症と闘いながら香害の問題を広める活動をされている山口さんをご紹介したいと思います。
化学物質過敏症ってなに?
化学物質過敏症は、何かの化学物質に大量にさらされ、または、微量だけれども繰り返しさらされた後に、発症するとされています。
頭痛や吐き気、倦怠感などの症状が出たり、重症になると、仕事や家事が出来ない、学校へ行けない…など、通常の生活さえ営めなくなる、極めて深刻な“環境病”です。

1990年代ごろから注目されはじめ、現代の生活環境や合成化学物質の増加とともに、患者が増えてきたといわれています。
香害と化学物質過敏症を考える「香害学習会」
「香害学習会」では、DVD鑑賞、講師として山口さんをお迎えして講演を行っていただき、最後に意見交換を行いました。

DVD:香害110番
「香害110番」のDVDは日本消費者連盟から発売されているもので、柔軟剤や合成香料による「香害」に苦しむ人々の声を広めるため、市民団体と連携し制作されました。
被害者の実態や医師・専門家の見解、対応に消極的な企業や行政の姿勢、そして各地で広がる市民運動や自治体の取り組みを紹介しています。

柔軟剤の香りのため教室に入れず、誰もいない部屋で一人勉強せざるをえない小学生の女の子の姿も取り上げられ、被害の深刻さを訴えています。
講演:講師山口さん
山口さんは23年前にシックハウス症候群を発症し、その後、柔軟剤などの日用品の成分でも体調不良を起こすようになり、深刻な化学物質過敏症をかかえています。

▲エスコープ機関紙「リップル」より引用
日常生活でも、宅配便の荷物や人との接触をつうじて「移り香」に苦しむことがあり、家族や周囲の理解を得るのも簡単ではありません。

▲堺市香害、化学物質過敏症啓発ポスターHPより引用
山口さんの活動
山口さんは「過敏症・香害を正しく知る委員会」を設立し、堺市をはじめ全国各地の主催者と共にパネル展示を行い、化学物質過敏症や香害について周知活動を続けています。
また「合成洗剤をせっけんに替えること」で、だれもが少しずつ化学物質の排出を減らせると呼びかけています。
山口さんが伝えたいのは、「誰もが加害者にも被害者にもなり得る」という現実です。
だからこそ、知り、考え、行動することが大切だと訴えます。
化学物質の現状
山口さんの講演では、化学物質の現状を知る内容のスライドを見ることができました。
合成洗剤や柔軟剤には「香り長持ち」「消臭効果」などをうたう製品が多数あり、その中にはマイクロカプセルなど環境に負担をかける成分もふくまれています。
よくCMなどで聞く「はじける香り」は、衣服に付着した香りつきのマイクロカプセルが摩擦などではじけることで放出されます。
その香り成分は「ナノカプセル」として空気中を漂い、呼吸によって肺に蓄積されていく可能性があるというのです。

▲山口さんよりご提供いただきました
日本では規制が不十分で、日常的に使われる製品が化学物質過敏症の原因となり、学校に通えない子どもが出るなど深刻な問題が生じています。
本人が悪いわけでも、香りを楽しむ人が悪いわけでもなく、問題は「過剰な化学物質が市場にあふれていること」にあります。

山口さんの化学物質過敏症の周知活動「香害ってなあに?」パネル展@堺市堺区
2024年7月1日~7月30日に堺市福祉会館で行われていた「香害ってなあに?」のパネル展へ行ってきました。

▲写真は初開催時のもの。

▲知らなかったこともあり勉強になります
山口さんのパネル展は2023年からはじまり、今では全国100か所以上で開催されています。
1枚1枚の資料をじっくり読んでいくと勉強になり「香害」がどのようなものなのか知ることができます。
展示ではパネル展を見た方や、香りで苦しむ方の感想が寄せられています。

▲パネル展に展示されている当事者からの手紙
「今日歯医者に行った、芳香剤のにおいがした。においがきつかった。くるしかった。」6歳の子どもの日記。
パネル展では、たくさんの人の経験や感想が展示されています。

「不安虫」というキャラクターがナビゲーターとしてパネル展では登場します。
ステッカー大作戦も開催されており、模造紙に貼り付けてある不安虫のステッカーをはがし、空いたスペースに感想を書けるようになっています。

わたしも宅配業者の柔軟剤のにおいがきつく、荷物ににおいが移り苦しかったので、玄関にステッカーを貼ってさりげなく気づいてもらうように啓発活動をしています。

模造紙には「わたしも柔軟剤のにおいが苦手」「子どもの給食着のにおいが取れない」などの声が多く寄せられていました。

▲パネル展に展示されている感想
化学物質過敏症はだれでも発症する症状です。
発症のメカニズムは人それぞれですが、よく言われるのが「自分の体内のコップがいっぱいになったときに発症する」ということ。

体内に蓄積された化学物質が限界に達すると、突然症状が現れるのです。
コップがいっぱいになるタイミングは誰にも分かりません。
明日突然発症することも考えられます。
「いい香りだから体にいい」とは限らないということを知っておくことも大切です。
まとめ
「香り」は心地よいものとされますが、それが誰かにとっては大きな健康被害となり、環境汚染にもつながっています。
香害の問題は、私たち一人ひとりが日用品の選び方を見直すことで改善できる部分もあります。
まずは「知ること」から、山口さんの活動は、その大切なきっかけを私たちに与えてくれます。
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