[覆面ライターのつぶやき] トマトを見ると思いだすこと
覆面ライター
夏野菜のトマトを見るとあの時の料理の味を思い出す話。
まだ20代の若かったころ初めて彼氏を自宅に招いた。
それまでお付き合いした人はいたものの自宅に招いたことはなかった。
それまで付き合った相手は、親に紹介してくれないタイプの人だったので、私も親に紹介することはなかった。
そして自宅に招いた彼氏は愛想のいいタイプの人だったので、自分の親にも紹介してくれていた。
初めて家に連れてくる日、私の母は手料理を振舞ってくれた。
ラーメン屋の娘だった母の料理は、和食を中心にいつも美味しかった記憶がある。
外食もあまりした記憶はなかった。
そんな母が振舞ってくれた料理はトマトの冷製スープ。
今まで自宅の手料理に、そんなおしゃれな料理が出ることはなかったので「なんじゃこれ?」
そして、美味しくはないスープ。
その彼氏は「おいしい、おいしい」と言って食べてくれていたけれど←今思えばけっこういい人だった
そのあと、母とどんな話をしたのかはちゃんと覚えていないけれど「がんばったやろ」という感じの会話だったかと思う。
自分が親になってみてはじめて親の気持ちが分かるというが、今ならその時の母の気持ちが分かる気がする。
「初彼氏に美味しいおしゃれな料理を作ってもてなしてあげたい」
きっと自分もそうするだろうな~と。
トマトを見るとあの冷製トマトスープを思い出して、母を思う話。
ちなみにその時の彼氏は今の旦那ではありません。